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2024/4/8

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そもそも論文とは何?

論文は他の文章と何が違うのでしょうか。
論文には大きく2つのルールがあります。

先行研究を引用する。

論文で自分の主張を述べるためには、まずはその研究史の概要を知ることが欠かせません。
新しい考えを述べるということは、これまでの研究史を振り返るという地道な試みでもあります。
論文中で先行研究を引用しながら、自分の論を展開していきましょう。

形式を守る。

論文には決まった形式があります。
例えば、他の人の考えと自分の考えは「 」を使って厳密に分けて書かなければなりません。
同じような考えを自分も持っていたとしても、誰がいつそのことを発表したのか、その研究と自分の研究はどこが異なるのかを、読者にわかるようにはっきりと区別して書きます。
内容もさながら、論文で最も重要なのは正しい形式で書くということです。

wordの操作

縦書き

レイアウトタブをクリック
 文字列の方向 → 縦書きを選択

Wordを立ち上げてみましょう。文字列の方向は基本設定で横になっています。
レポートの形式に縦書きが指定されている場合は、文字入力の前にレイアウトを縦書きに変更します。

ルーラー

表示タブをクリックして
ルーラーにチェックを入れる

ルーラーはWord画面上部、左右に表示される定規のことです。ルーラーはデフォルトで表示されていない場合もあるので、その際は表示タブからルーラーにチェックマークを 入れます。
ルーラーの表示を消したい場合は、同様の操作でチェックを外します。

縦書きレイアウトではルーラーは操作できません。

インデント

インデントは、段落の上部(左側)を字下げすることです。
方法は次の二つです。

レイアウトタブをクリック
 →「段落」タブの右下の矢印をクリック
  →インデントの左を2字に変更

        

画面上部にルーラー(定規のようなもの)を表示させておく
 →動かしたい段落にカーソルを合わせる
  →上部左側のルーラーの一番下の□を右側に引っ張る

*縦書きレイアウトではルーラーは操作できません。

レポートや論文作成において他の人の言っていることを紹介することを引用と言います。
長文の引用の際は引用箇所にインデント機能を適用させ、字下げをします。
例えば、次の文章を見てみましょう。

論文とレポートの違いは何でしょうか。○○○○は次のように述べています。

レポートと論文の違いを定義するのは簡単ではない。なぜならそれは便宜上分けて使われることが多いからだ。 しかしここでその両者を定義するとしたら、それは暫定と結果とすることができる。暫定と結果とはつまりその製作物がまだ過程の状態か、ある程度の成果物として捉えられるかの違いである。

○○が指摘するように、論文とレポートは便宜上分けられているともいえる。しかしそこに違いは本当に無いのだろうか。(……後略)

上の文章は引用箇所を二文字下げにしています。これでどこからどこまでが引用の文章なのかをはっきりと示すことができます。
このように文頭を決められた数下げることを、インデントといいます。
見た目上はスペースキーで調えたものと同じように見えますが、
段落全体で字下げをする際はインデント機能を使いましょう。
なぜなら、改行や手直しをした際に、スペース入力では書式がずれてしまう場合があるからです。

カギ括弧

カギ括弧は引用のしるしとして用います。
上記ではインデントで引用箇所を示しましたが、短い文の場合はカギ括弧「 」を用いて引用します。
例えば次のような場合です。

スマートフォンは現代人の生活習慣を大きく変容した。○○○○は3Gから4Gの移行について「通話機能の向上が大きな効果を発揮した」と述べている。

このようにカギ括弧でどこからどこまでが引用部分なのかを、読者にわかるように示します。

英数字

数字・英字は基本的に半角で入力します。
キーボード左上の半角/全角キー、
もしくは、キーボード左側のcaps lock/英数キーを押すと半角入力に切り替わります。
次の例を見てみましょう。

 さて、文書作成においてはその内容もさながら、形式も重要である。Wordの基本設定は40文字36行に設定されている。しかし課題論文では特定の文字数と行数が指定されている場合があるため、作成の前に特定の書式に設定する必要がある。書式あっての中身と考えて、レイアウトの間違いや誤字がないように努めることが大事である。

上記ではWordという英字はすべて半角で入力されています。
文字数が4文字なのに対してスペースは2文字分しか使われていないことがわかります。
同様に「40字36行」の数字の箇所もそれぞれが半角で入力されており、2文字で1スペースをとっています。
レポートや論文以外でも、英数字入力は基本的に半角で入力をすると覚えておきましょう。

縦中横

ホームタブのリボンの中にある

A
をクリックして縦中横をクリック。ウィンドウの右下のOKをクリック

縦書きレイアウトでは英字の向きが横になってしまいます。縦中横を設定することによって、文字の向きを90度回転させることができます。

変換

全角カタカナは F7 もしくは 無変換キー

変換はスペースキーを使うのが一般的ですが、F7キーや無変換キーが推奨される時があります。
例えばカタカナで「サカナ」と入力したい時、スペースキーを押して変換をしようとすると、「サカナ」はやや下の候補に出てきます。
それは「魚」「差かな」などの他の単語が候補に上がっているためです。これでは「サカナ」を入力するためにスペースキーを何度も押下しなければなりません。

そういう時はさかなと入力してF7キーまたは無変換キーを押すことで、一瞬でカタカナの「サカナ」を出すことができます。

F7キーまたは無変換キーを場面に応じて活用しましょう。

難読漢字

        

PC画面の右下にあるあ/Aを右クリック
IMEパッドを表示させる

IMEパッドとは難解な漢字を手書きで表示するためのツールです。例えば「惠」という字を表示させるにはIMEパッドが便利です。これは恵の異体字ですが、「ケイ」や「めぐみ」と打っても予測変換にはなかなか出てきません。

IMEパッドを表示させるにはまず、PCの右下部のあ/Aという表示を右クリックします。するとIMEパッドという項目が出てくるのでそれを選択します。するとこのようなパッドが表示されます。

IMEパッド

左側の手書き鉛筆マークが選択されていることを確認して、手書きで文字を書いてみましょう。

Wordの知恵

上書き保存には気を付けて!

さて、皆さんは上書き保存という機能をご存知ですか。
上書き保存は便利な機能である一方でその使い方に注意が必要です。

例えばWordで文章を作成して、保存をしておく場合二つの方法があります。
一つは名前を付けて保存、一つは上書き保存です。

この二つは保存の方法が違います。
絵画でいうならば、名前を付けて保存は今描いた作品をそのまま取っておくこと、
上書き保存はすでに描いてある絵の上に新しい絵具をのせていくということです。

新しい絵具をのせた場合、「やっぱり以前の絵に戻したい」と思っても戻すことはできません。
上書き保存は言うなれば、新しいバージョンを最新のものとして保存し、以前のものは上塗り(消去)していく保存方法です。

なぜこのような違いがあるのかというと、それは使用目的によって適した保存方法が違うためです。長い小説を書く時などは、編集回数が何度も繰り返し発生します。その度に名前を付けて保存をしていると、ファイルの数がとても多くなってしまいます。

それぞれの性質を十分理解したうえで、保存機能を便利に使いましょう。

入力文字を間違えて消してしまったらCtrl+Z

Ctrl+Zキーは一つ前の操作に戻る機能です。

みなさんはWordやブラウザ入力で「間違えて消してしまった!」という経験はありませんか?
実はこういう時に使える機能として、CtrlキーとZキーを同時に押下する「一つ前に戻る」機能があります。

「一つ前に戻る」は、Word画面の左上にある左向き矢印でも同じ操作ができます。
もちろんこれをクリックしてもいいですし、メモ帳やブラウザ入力などの矢印マークがない時も、Ctrl+Zで一つ前に戻れる場合が多いです。
ただこの機能が働くかどうかは、入力しているブラウザやソフトにもよるので保障はできません。

エントリーシートなどの長い文章を入力する場合は、誤消去を予防するためにも編集は別ソフトで行って完成版を張り付けるなどの工夫をしましょう。

Ctrl+Fキーを使おう!

Ctrl+Fキーでページ内検索

今自分が書いた文章で「漢字を間違えて入力していた!」ことや「文章が長すぎてどこにキーワードを書いたか忘れてしまった」といった経験はありませんか? そんな時に便利なのがCtrlキーとFキーを同時に押下する「ページ内検索」です。
ページ内検索を使うと、文字入力のフォームが出現します。ここに文字を入力することで、検索したい文字をすぐに探し出すことができます。
この機能を使うと、例えば自分が作成中のファイルや、ブラウザでpdfファイルをダウンロードした時なども特定の文字を検索することができます。

探したい言葉はわかっているんだけど、量が多すぎて時間がかかるという場合には是非使ってみてください。

論文の知恵

テーマの決定

テーマが決まらないという悩みをよく聞きます。テーマ決定は重要なことなのですが、実はそこまで気負う必要はありません。

例えば、今目の前に2冊の本があるとします。
一冊はハードカバーで固い装丁に包まれています。中を開くと縦書きの本のようで、難しい漢字や見たことのない文字が書かれています。
もう一冊は横書きの本です。装丁は軽くそこまで厚みはありません。中を開くと所々に見たことのないカタカナの文字がみえ、索引や注釈には様々な言語の文献が載っています。
さてあなたはどちらを選ぶでしょうか。

研究テーマの決定とは実はこのようなものです。熟考して間違いのないように決めなければならない。そのように思いがちですが、実はこのような直観が大事です。
この2冊のうちどっちを選ぶ? の問題の中に様々な自分の直観が活きています。それは自分のこれまでの経験や人生の中で何に興味が湧いたかということを反映しています。

どの本を読むかはどうやって決まるか?

研究を進めていくにつれて文献や本を読んでいきますが、何を読むかはどのように決まるのでしょうか。

現代は検索という機能があるのでそのような問いをもつことも無いのかもしれません。
検索のない時代の文献探しは途方も無いものだったと聞きます。例えば図書館には目録というものがあります。現代ではあまり意識しませんが、本を整理するのにとても重要な役割があります。
検索のない時代はこの目録カードをもとに文献を探していました。文献ごとに整理されたカードから目ぼしいものを見つけて手当たり次第に読んでいきます。

忘れてはならないのは読んだ文献の後ろにある先行研究一覧です。自分の参考にした論文や本の著者がどんなものを読んできたのか。先行研究一覧はそのような研究者の足跡をたどることができます。
文献から文献につながる読書。かつての研究のあり方であり、それは現代でも同じですね。

読むことと書くことは両輪

研究が進んでいくと難しい本をたくさん読まなければならなくなります。本を読むということはただ字を目で追えばいいという訳ではなく、時間もエネルギーも必要です。たくさんの文献を読まなければならないというプレッシャーがかかることもあるかもしれません。

研究は長い道のりです。そのようなプレッシャーとは上手く付き合っていかなければなりません。読むことが難しくなったら書くことを試してみてください。読むことと書くことは両輪です。自分の頭の中に入った知識や新たに生まれた考えを、言葉にして表すことで、両輪が回るようにものごとが動き出すことがあります。

まずは頭に思い付いた疑問や発見からで十分です。研究の過程で自分の文章を拡げていきましょう。

論文の読み方

さて、論文を書くには論文を読むことが欠かせませんが、論文とはどのように読めばいいのでしょうか。論文は一般の書籍とは違います。それには読み方があります。

論文は通常はじめに本論おわりにの3部構成になっています。例えばわたしが研究書の読み方について論文を書くとしたら、まずはじめにで研究の目的や概要のようなものをお話するでしょう。具体的には研究書は一般書とは違うためその読み方には工夫が必要だというようなことです。そして本論でその違いについて先行研究や実例を引きながら具体的に述べていきます。本論の後半部分では実際の読み方について自分の主張を述べていきます。そしておわりにでその論文の中で導き出せた結論をまとめるのです。

このように論文には構成があり、はじめには論文の全体像をはじめに述べているため、最初からはじめにをすべて理解することを目的に読むことはとてもたいへんなことです。

しかしそれははじめにを読み飛ばしていいということではありません。大事なのはすべてを完全に理解することを目的としないということです。実は本職の研究者であっても誰かの書いた論文の隅から隅まですべてを完全に理解することは難しいです。論文とはそのように読むほうも書く方もエネルギーを使う真剣なものです。

論文を読むときには筆者が何を重要としているか、その論の中で重要とされる問いは何かをたどりながら読んでいきます。そして大事だけどわからないことは、他の論文を読んだ時にさらに戻って考えてみます。そうすれば論文や執筆者を越えた研究のつながりを感じ取ることができます。

時間のかかることですが、急がず自分の取り組みとして向き合うことが大事です。

そうは言っても

さて、そうは言っても、すべての論文を隅から隅まで読むということは難しいです。自分が大学院生の頃を思い出してみても毎日の課題や書くものが多く、研究書にじっくり向き合う時間がなかったように思います。本末転倒なのですがね。

そういう時は先ほども言った通りやはり重要な箇所を見極め、自分の中で問いを残しておくということが大事です。例えば論文の中で哲学で扱われる単語が出てきたとします。おそらくそれが重要な言葉で自分の研究と関わっているとわかっていても、哲学的概念をすぐに理解することはとても難しいです。

そのような時はその単語や概念の問いを自分の中で開いておきます。「これは終わったこと、もうわかった」とするのではなく、この文章やこの単語はわからないけれど、大事なこととしてとっておくのです。そして別の論文で同じ単語に出会った時に注意して読んでみる。もしくは読書の中で進んでその単語を探してつながりを見つけていきます。

研究書や論文は難しいです。すべて読み切ることが難しくなった時は、完璧を目指すのではなくつながりを大事にしてみましょう。

ちょっとひとやすみ

研究のなかで共通を見つける

別の本を読んでいるのに同じ内容が書いてあることに気付いたという経験はありませんか? それは読書や学問のおもしろい点の一つです。

難しい本を読んでいると、こんなに難しいことをこの先もやっていくのか、あと何冊も難しい本を読まなければならないのかと思うこともあります。

しかし、難解な本をわからないなりに一冊読み終えると、次の本を読んだ時に共通する点がいくつかあることに気が付きます。興味深いことに、異なる分野でも、本質的なことを書いている本ではこのようなことが起こり得るのです。

このようなものごとのつながりが学問においては大切です。

難しい本を読むことは先が見えない長い道のりのように思えますが、読書の過程で実はいくつかの道標をみつけることができるのです。

たまには思いのままに本を読む

論文を書いたり研究を進めていくと、難しい本や自分の研究分野だけになりがちです。研究に愉しさがあるのはもちろんですが、でもそれだけだとやはり気持ちが停滞してしまいます。

そういう時は思いのままに書棚に手を伸ばして、好きな本を読んでみます。自分の分野と全然関係のないものを目に入れておくのも大事なことです。

論文執筆で培われる力とは

論文作成についてひと通り述べてきましたが、その先についても考えてみましょう。論文を執筆している皆さんの中には、就職活動を控えている方も多いと思います。エントリーシートや面接では、学生時代に頑張ってきたことが問われます。そこで改めて考えたいのですが、論文執筆において培われる力とは何でしょうか。
論文を書くためにはさまざまな前提が必要です。ここでも書いてきましたが、自分の意見を述べるためには他の人の意見を知らなければなりません。人に読んでもらうためには、まずは形式をしっかりと組み立てなければなりません。
このように論文を一つ書くということは、かなり多くのことを自分の中でしっかりとやり遂げることなのです。
就職活動や面接において、学生時代に頑張ったことは論文執筆と胸を張って言えたらそれは実はすごいことなのです。

論文執筆で培われる力とは――おまけ

そうは言っても……の話ですが、論文執筆で培われる力は即効性があるものではありません。
就職活動においてアピールすることは、大体が即戦力となることや目に見えて成果として表れるものですね。そのような力だけが個人の採用や企業の発展につながるものなのか、疑問は残りますがそれが評価されやすいのが現実です。

論文執筆で培われる力は長い時間をかけて成果として実を結ぶようなものです。
このような力が評価される社会になることを切に願っています。

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